肥後藍御船工房の

藍染について…

平成2年、なくなってしまった「肥後藍」を復活させるため、ここ御船町に開いた藍染工房です。

熊本県から「伝統工芸品」として指定を受け、御船町からは、特産品「いさぎ」に指定されています。

藍とは

藍は、世界で最も古い染料の一つで、タデアイや、ナンバンコマツナギなどの植物の中に含まれている成分が変化して生じた、藍色の色素を含む染料のことです。藍の色素は「インジゴ」と呼ばれ水に溶けません。不水溶性のインジゴを発酵作用などで水溶性にし、繊維に染めつけ、酸化発色させ、元の藍色に戻すことで染色ができます。

藍色に染まるメカニズム

インジゴは、植物の中にいるときは透明で水溶性です。しかし、酸化すると水に溶けないインジゴに戻ります。

藍染の元となる「すくも」などは、インジゴを含む植物を発酵・濃縮し、酸化させたものですので、そのままでは水に溶けません。

日本の伝統的な藍染めでは、すくもに小麦ふすま(発酵の栄養源)・灰汁(アルカリ)などを入れ発酵させ、すくも中のインジゴを還元し水溶性にします。(藍が建っている状態)

藍の液面に泡(これを藍の花といいます)が立つと染めることができるようになります。

肥後藍御船工房の「たであい」

藍がめの中で藍が建っている状態

藍の効能

藍は優れた染料であると共に、多くの薬効があります。

藍は、古来より多くの効能を持つ薬草として人々の暮らしの中にありました。広く知られている藍染の効能の一部をご紹介します。

藍は染料であると共に、身に着ける薬草でもあるのです

1
抗菌作用

藍の代表的な効能である「抗菌作用」は様々な効果を生み出します。水虫・たむし・アトピー性皮膚炎等に対する効能も期待できますし、抗菌作用が生み出す消臭効果により、汗臭さなどが軽減されます。

また最近では、インフルエンザや新型コロナウイルスの働きを弱めるという研究発表もあり、注目を集めています。

2
止血効果

藍染には止血の効果があることや、濃い藍色が「かち色」といわれ、「勝ち」に通じることなどから、中世以降の武士は好んで使いました。

3
保温効果

藍染の保温効果により、藍染の下着・靴下等は、冷え性に効能があるとされています。

4
防虫効果

藍染の風呂敷で包んだ衣類は、虫がつきにくいなど、藍染の防虫効果は広く知られています。そもそもジーンズが藍染だったのも、虫よけや蛇除けの効果を狙っていたためでした。

肥後藍御船工房の藍染と草木染

肥後藍御船工房では、これまで何回か、種から藍を育て、すくもを自作し、灰汁建て天然発酵藍を建てましたが、現在は、徳島産の「すくも」を使い灰汁建て天然発酵藍を建て、また、インド産の天然インド藍も別の甕で建てています。

また、藍染の外にも、柿渋等、各種天然染料を使った染物も行っています。

型染め

オリジナルのデザインを手彫りした型紙による型染は、肥後藍御船工房の特色でもあります。 これまで彫った型は、数百枚にも上ります。

絞る・締める

抜染や糊おき等の型染のほか、絞りや板締め等々、多様な手法を使い、オリジナルの商品を製作しています

藍の栽培から藍玉まで
藍を建てる